前略、ドデカ愛の真ん中より

※個人の感想です

『発見と疑問』が拓いた未来【前編】

 今回はいつぞやのアルバムブログアンケートで1位だった『発見と疑問』の話をします。初めて聴いたHalf time Oldのアルバムなので、なんだかんだ思い入れは深いなあ……と思いました。

 

M01 アドホック

 歌い出しの「ねぇ」がヤバい。もうこの「ねぇ」が名盤確定演出では???? アウトフォーカスから入ってこのアルバムにたどり着いて、最初に聴いたのが1曲目のアドホックだったんだけど「全てはこの為だけにあったの」「あなたに出会う為の布石だったの」なんてど初っ端の曲で言われたらたまらないんすわ。恐ろしいアルバム……。そこからの「できるなら今日までの痛みを 僕にも少し分けてくれないか」はあまりにもずるいよ……痛みもはんぶんこしてくれるバンド……!!

 綺麗事は何一つ無いんだけど果てしなく美しい言葉で出来ていて、それでも力強い曲だなあと思う。「胸ぐら掴まれて」っていう言葉さえもこの曲の中にあると美しく見えてくる。2番の「少しだけきっと喜びも混ざるだろう」からの「遥か先まで広がる雨雲と~」の声色の変化が素晴らしく良い。「暮らしは簡単なものじゃないけど ワイシャツを通して伝わるくらいに単純だ」なんて歌詞どうやって生きてたら書けるんですか?考え事をしながら散歩をするような雰囲気から全速力で走り出すようなギターソロが展開されるのアツすぎる。これがアルバムのトッパーなの本当に素晴らしすぎる……。

 アドホック(ad hoc)はラテン語で「特定の目的のための」みたいな意味らしいんだけど由来これで合ってるのかな?

 

M02 『0』

https://youtu.be/ry-O1nz0QIw

 沼落ちさせる気しか無いやろこのアルバム

 アドホックが「果てしなく美しい」なら、この曲は「果てしなく強い」。張り詰めた緊張感、緻密に組まれた旋律、命が、存在感が、オーラが、振動を通じて痛いほど伝わってくる。

 イントロから2番Bメロまで息つく暇が無い。1番サビの余韻が冷めぬまま、気づいたら2番のサビ前。ジェットコースターの最初の落下に振り回されてやっと呼吸を整えたと思ったら更なる大落下の寸前にいた、みたいな感じ。ギターソロの頃にはもう呼吸さえも忘れてレールの行く末に心を踊らせるような、唯一無二の緊張感を楽しめる曲。Aメロとサビ後のメロディーが同じような音程なのセンス良すぎる……!「一斉に合図出していこう」でリードギターが2本になったりドラムが騒がしくなったりするの好き。あと、本当にマジのガチでギターソロが好きすぎる。

 この曲は生命力の塊なので、1回聴く毎に寿命が10分延びます。多分。

 

M03 忠犬ヒト公

 「こんな事歌詞にすべきか悩んだけどせっかくなので」から始まるの、あまりにもHalf time Oldらしくて良い。歌い出しの4行のインパクトによって、歌詞の全てが他人事じゃ無くなる感じがした。サビの「だからこそあんたと話がしたい」で一気に心臓をぎゅっと掴まれる。「首輪なんていらない」「鎖では繋げない」といったようなユーモアと激情が入り交じる感じが好きです。

 初めて聴いたくらいの頃(大学1年生)は「この曲ずっと何かに怒ってるな」と思ってたけど、バイトを色々経験したり今現在就活してたりすると全部が痛いくらいに身に染みる。親に就活の進捗を一切話していないので「これだけは1人でこなしたいから 黙って見ててほしい」が分かりみ深すぎる。ローテンポ気味だからこそ、歌詞のメッセージ性がより深く心に刺さったり染みたりするんだろうな。

 2番Bメロのベースとギターの情報量の多さが「ハーフだな~!!」って感じがして好き。というか全体的にギターが好きだな~!!!!

 

M04 ハミングオンザストリート

良い……最高…………

 もしかしてこのブログほぼ「良い」「最高」しか言ってないな??今更?

 優しさと愛しさで出来ている曲。心がしんどい時に聴くと、イントロのギターの旋律がそっと頭を撫でてくれるような気がする。あたたかい雨が降るようにサウンドが心に染み込んでくる。時折立ち止まるようにドラムのリズムが揺らぐのも、風が吹くようにベースの音が広がるのも、木々がそよぐようにギターが歌うのも、全部か優しくて大好き。ゆるく雨が降る春の日にお家に引きこもって聴きたいね。早く暖かくならないかな。

 「誰かの事が憎いのなら くたびれた古着を選んで着よう」「誰かのことが愛しいなら 新しいテレビを買いに行こう」の意外性のある対比が好き。私は誰かのことが愛しくて外付けのBluRayプレイヤーを買いました(?)。何度でもこの街(地元)に生まれたいけど、5回くらい生まれ変わったら名古屋人になりたいです。

 

M05 メイサイ

 全てが愛おしい。「歳ばかり数える子供」「距離ばかり置きたくなる大人」「忘れないよ」「後悔は無い」の対比が好き(また対比の話してる……。)若さから湧き出る爽やかさと年月から生み出された成熟、そして一本筋の通った自我が全て「迷彩」「明才」「明細」のどれにも取れる曲名に結びついてるような気がして、日本語って良い言語だなって思った。ハーフの曲って曲名が歌詞に出てこないことが多いけど、メイサイはその事が特に活きてるな。

 「思ってたんだよ」を2回繰り返すことでその前にある言葉が強調されるのも良いし、最後の最後で一番強い感情として提示されるのが「忘れないよ」なのが一番の好きポイント。1番サビの最後の「覚えるよ」の伏線回収にもなっていて、さらにそこで時系列が生まれていて、とにかく歌詞の構成が秀逸すぎる。社会人3年目くらいに聴いたらまた違う染み込み方をしそう。 

 

M06 LIFE LIFE LIFE

こういうの大好き!!!!!!!!!!!!

 かわいい~!と思いきや歌詞がとっても重くて、そういうところがとっても好き~!!!!(語彙力が限界)

 サビの音が全部好き。あんまり詳しくないからよく分からないけどギターお洒落すぎない???「その時はよろしくね」でみんな歌詞の音程をなぞるの良いな。

 このサウンドの雰囲気に「夢がないならば死んでしまえ」ってド直球な毒を乗せるセンスがすごい。歌い出しが「街を歩くギターを背負った少年」という具体的な情景描写である事によって、芋づる式に(?)その後の歌詞も鮮明に光景として浮かんでくるような気がする。さっきのメイサイと繋がっているような気もする。「笑いたい奴は笑ってくれ なんだっていい答えてくれ」のところで、好きなコンテンツへのリアクションは欠かしちゃいけないなと思った。最後で「何処からか」→「あなたから」→「自分から」声がする、と移り変わることで、共感のスタンスで聴いていたのが一気に自分事に切り替わって、そのまま舞台の幕を引くみたいに終わっていくからついリピートしちゃうな。

 

 

 前編はここまで!リアルタイムで追ってない頃のアルバムの話するのムズいな!! 後編はまたいずれ!!